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「お・も・て・な・し」の心

2013 年に滝川クリステルさんが 2020 年東京招致オリンピックのスピーチで、日本人のホスピタリティ精神をアピールするために、「おもてなし」と言う言葉を使った。それは、その年の流行語大賞を受賞するほどの反響を呼んだ。

日本に来た頃、故国とは異なる質の高いサービスに私は感動させられるばかりだった。初めてタクシーに乗った時、日本のタクシーは自動でドアが開くことを初めて知った。その上、運転手が傘をさしてくれたり、荷物をトランクに入れてくれたりするのだ。しかも、「エアコンの温度はいかがですか」「何かご用はございませんか」等と聞いてくれる。また、寒い冬の夜には、車の横で立ったまま私が出てくるのを長い間待ってくれていた。日本のタクシーはこのようなことをごく当たり前のようにしている。

私が初めてコンビニでアルバイトをしたときは、言葉遣いや気遣いの多さに驚いたものだ。お客の要求に誠意を持って対応し、笑顔で相手を喜ばせるサービスを心がけている。だから、お客に「ありがとう」と言われると、頑張った甲斐があったと私は心から思った。

そもそも「おもてなし」の心とは、相手の立場に立ち、相手を思いやって、親切を尽くす心だ。日本は小さい島国であって、繊細な自然の中で育つから、大陸の人のように何事にも大雑把で細かいことを気にしない性格とは大きく異なる。周りの人と仲良く暮らすために、他人への気遣いを心がけているのだろう。

もちろん、外国にも「ホスピタリティ」と言う言葉はある。しかし、これは歓待、厚遇、相手への思いやりと訳される。「おもてなし」と基本的には同じ意味だと考えられるが、日本独特の「おもてなし」にはもう少し深い意味が込められていると思う。前者は直接お客様と接する場面での対応を重視しているが、後者はお客様にとって居心地の良い空間作りに重きを置いているのではないか。その上、何か一つ言われた事でも、常に相手の立場に立ち、三つも四つも先回りして考えている。しかも「これをやっておきました」と主張することなく、さりげなく、ひっそりとやっているのだ。

このような「おもてなし」の心は、将来もっと人々に求められる存在になるだろう。お客が人の温かみを感じられるだけでなく、もてなす方も相手との接点を増やせるし、感謝もされるので、仕事のやりがいも生まれてくるのではないだろうか。

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